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福島家庭裁判所平支部 昭和33年(家イ)143号 審判

国籍 大韓民国慶尚北道 住所 富山県

荒木こと 申立人 金トシ子(仮名)

国籍 大韓民国慶尚北道 住所 福島県

吉本こと 相手方 金竜正(仮名)

主文

相手方が昭和六年三月○○日福島県○○村長宛に為した申立人に対する認知の無効なることを確認する。

理由

本件記録に徴すること、申立人は大正一二年九月○○日本籍福島県石城郡○○村(現在磐城市)大字○○○字○○一一〇番地申立外荒木ヨシ(明治三九年八月○○日生)と申立外小久保宗雄との間に出生したのであるが、上記両親が婚姻できなかつた為ヨシの私生子として届け出られていたところ、昭和六年三月○○日ヨシが相手方と婚姻した際、相手方から親子関係がないのに認知され、同人の戸籍に長女として登載されたことが認められる。そうすると、上記認知は真実に符合しないから無効であることが明らかであり、相手方は認知当時日本の国籍を有していたが、我が国のポツダム宣言受諾に伴い、現在は外国である大韓民国の国籍を有し、従つて申立人も亦形式上は外国人になつているけれども、無効な認知に因り外国の国籍を取得するいわれなく、依然日本の国籍を有するものと云うべく、依つて申立人の本件申立を相当として認容し主文の通り審判する。

(家事審判官 鈴木盛一郎)

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